松尾設計室の指導を受けた工務店で注文住宅を建てる

注文住宅で悔いを残さないための住宅建築勉強ブログ

新築住宅への2種換気導入でシックハウス症候群の完治の可能性がある、なぜ普及していないのか?

いくつかの論文から陽圧換気、2種換気によって室内へのVOCの侵入を大幅に減らせることがわかっています。しかし2種換気は全く普及していません。なぜ?

国土交通省建築士工務店、施主、シックハウス症状とVOC(揮発性有機化合物)と住宅の気密と換気に関する知識がないからか?

いや知識はあっても、彼らは間違えることを許されないかつ、全方向に忖度しなければならないので、「失敗したら方向転換します」的な思い切った手段は取れないのでしょう。

当自宅の2種換気によるシックハウス症候群の完治は、たまたま私の家族では効果があっただけ、という可能性もゼロではありません。それを踏まえて読んでください。

 

2種換気(陽圧換気)に関する誤った知識

 

「2種換気は室内が陽圧で室内の湿気を壁内へ送るため壁内結露しやすいので住宅では利用されません」等のコピペ記事が散見されます。

しかし、2種換気の陽圧換気だろうが、3種換気の負圧換気だろうが、住宅の気密性が低ければ湿気は壁内へ入って結露し、壁内のカビで30年後にはゴミ住宅と化します。

高気密住宅での2種換気の運用は全く問題ありません。おそらく低気密住宅でも問題ありません(壁内で結露します。しかし3種換気でも壁内は結露します)。壁内結露は換気種別が問題なのではなく、主に気密性(壁内の気流止め+防湿シート施工)が問題なのです。(もちろん断熱も重要)


低気密住宅の場合でも2種換気の方が室内空気環境は有利

低気密住宅では2種換気、3種換気どちらでも壁内結露します。それならば狙ったポイントに、カビほこりのない新鮮空気を供給したほうが合理的だと思います。

  • 低気密住宅での3種換気は床下や壁内からのほこりやカビを室内へ吸い上げます。
  • 低気密住宅でも2種換気であれば、少なくとも給気口に近い場所はフィルターを通した綺麗な新鮮空気を提供でき、床下や壁内からのカビ、ほこりの吸い上げは室内の陽圧によって空気を押し出すのでほとんど起こりません。
  • 低気密住宅の3種換気では室内へ供給される空気が、清潔な新鮮空気か、床下、壁内のカビとほこりを含んだ空気か、これを選ぶことはできません。

 

3種換気(パイプファン)の高気密、高断熱住宅に引越し後、子供にシックハウス症状がでた

子供にシックハウス症状がでてから100時間以上を換気に関して調べましたが、そもそも換気に関する論文が少なく、住宅換気は機能する形で法整備されていません。建築基準法シックハウス法などのザル法は一応ありますが実質機能していません。

 

シックハウス症候群の症状には下記があります。

  1. 目、鼻、喉などの粘膜に違和感。
  2. 粘膜、皮膚の乾燥感。
  3. 蕁麻疹、湿疹が出る。
  4. 疲労感、イライラ。
  5. 頭痛、病気になりやすくなる。
  6. 息がしにくい、気道がぜいぜいする。
  7. めまい、吐き気、嘔吐。

私たちのシックハウス症状は赤文字が該当しました。

シックハウス法はほぼ無意味なザル法


1970年台からシックハウス症候群が増えてから、2003年にシックハウス法(シックハウス対策に係る法令等)が施行されましたが、住宅の気密性能に応じた実行換気量が定義されていません。

建築確認申請時の机上の計算だけで良いのです。実際に換気されているかどうかは全く関係ないのです。国民の健康という観点からはザル法です。

 

またVOCに関してはホルムアルデヒドは規制されているが、アセトアルデヒドは規制されていない等、完全に建材屋への忖度をした国民の健康という観点からはザル法です。

 

住宅より厳しいビル管理法は一人30m3/1hという明確な換気量の定義がありますが、これもシックビルディングで検索すると大量に記事が出てきます。

 

製造過程を含めれば、石油由来の商品ほぼ全てVOCが含まれますので、VOCを全て規制するのは現在の社会システムでは不可能です。

シックハウス症候群を減らすには、住宅の気密性能に応じた換気量を定義し、引き渡し前に換気風量を計測、調節することを義務化すれば良いだけです。

しかし、永遠にこれは起こりそうにありませんので、シックハウス症候群になってしまった場合は自分で解決する必要があります。

 

飲食店が食中毒を起こせば業務停止のペナルティーを受けるのに、シックハウス症状を起こす建材を製造、販売しても建材屋には何のペナルティーもないという世界です。



シックハウス症候群に関する裁判所の判例は?


工務店は単にシックハウス法の規制に合格した建材を組み立てているだけなので、私は罪は少ないと思っています。

またシックハウス症状での裁判の判決も、工務店に過失はないという判決が多かったです。たとえ規制されているVOCの室内濃度が規制値を超えていても、契約書に明確な数値の記載がない限り、工務店に過失はないそうです。

シックハウス法はザル法です

 

新築住宅でシックハウス症状を起こさないように、2種換気の計画に関して、工務店側、施主側の立場で考える

 

工務店側にはデメリットあり


・そもそも換気、VOC、シックハウスに関する知識が建築業界全体にない。
・それを新しく勉強する必要がある。
・施工リスクが多少ある(ダクト式2種換気の場合に結露水の処理リスクあり)。


施主側はメリットのみ


・子供のシックハウス症状が完治しました。
・私は幼少期からの数十年のアレルギー性鼻炎が無くなりました。
・換気扇の数を6台→2台に減らせた(電気代削減効果)
・居室が静かになった(換気扇が排気口にかわったのでファンの音がなくなった)

 

シックハウス症候群になっても製造責任も、施工責任も、なんの罪にも問われないので、施主側が勉強して自分の家族を守るしかありません。

 

まとめ、新築住宅でシックハウス症候群になったら、2種換気に変更して換気量を増やせば解決します。

2種換気(陽圧換気)にすることで壁や床から室内への侵入するVOCを大幅に減らすことが出来ます。私の子供はこれによりシックハウス症状が完治しました。

シックハウス症状はハウスダストが問題とか書かれていますが全く関係ありません。その根拠に、兄弟が多いほど(つまり部屋がより汚く、埃が多いほど)アレルギー疾患が少ないという論文があります。国をあげて建材屋に忖度しているのでしょう。

私はシックハウス症候群暦40年以上ですが、人によって反応が大きく表れる化学物質が違うので規制の値の設定が難しいのでしょう。ゆえにシックハウス症候群の人すべてに効果があるのは、室内を陽圧にして換気量を増やすことです。室内が陽圧になれば壁や床からVOCを室内に吸い上げる量が大幅に減ります。

ベークアウト法(室温を上げて意図的にVOCを揮発させる)は住宅の居住者にとって現実的な対応策ではありません。ベークアウト期間はホテルなどに滞在する必要があるし、時間がたつと元にもどってしまうという指摘もあります。

また新築から40年以上の期間が過ぎた今でも、実家に帰るとシックハウス症状がでます。これは2階の床に使われている「防炎絨毯に練り込まれている何か」が私の場合は反応するようです。幼少期は頻繁に掃除して漢方薬などにも頼りましたが無意味でした。揮発してなくなるものではないからです。

アレルギーと同じく化学物質過敏症もその人固有の閾値を超えたときに発症するものだと思いますので、換気量を増やしてVOCを体内に吸い込む絶対量を減らさなければなりません。

建築業界は法が未整備の時代の金融業なみに詐欺、錯誤が多いと思う

2022年から住宅建築に関して調べはじめ、2023年に注文住宅の引き渡しを受けていますが、国を挙げての目先の利益だけを追い求めた本当に嫌な業界です。

住宅業界は高い金を支払っても、施主が理屈を勉強し、監視して注意し、是正させない限り、まともな家は立ちません。

施主が監視していても、目の前で違法建築物を建てようとします。施主の目の前でゴミを捨てていきます。信じられない業界です。

これから注文住宅を建築する方がこの記事を読むことは少ないとは思いますが、

建築請負契約は戦いです。丸投げしたら100%手抜きされます。

 

(後編)高気密、高断熱住宅に住んだらシックハウス症候群になった

副題:脱シックハウス症、自分でやる2種換気へのDIY交換。

あらすじ

・高気密、高断熱住宅に住んだらシックハウス症状が出た。
・海外の論文を調べると2種換気で解決出来そう。
自分でシックハウス症状を解決する記事の後編です。

 

前編を読んでいない方は先に読んでください。



ダクト式2種換気のダクトファンと給気口、吹き出し口の位置関係

写真のように給気口から断熱ダクトを接続、中間ダクトファン接続、エアコン上へ給気と計画しました。


一階の2種換気の完成画像

給気口、断熱ダクト配管、換気扇、吹き出し口の関係図。
中間ダクトファンのドレン水のたまる受け皿に白色の断熱材を貼り付けた。

写真で見るときれいに納まっているようにみえるが、天井懐が狭く、配管もあるのでダクトはうねっているので圧力損失は大きい、この状態で静圧は50Pa程度かかっている。事前に圧力損失が不明かつ大きい状態でも、一定風量を送れるDCモーターの換気扇をお勧めします。

ACモーターの換気扇しか選べない場合は、あらかじめ風量が大きい商品を設置して出口(吹き出し口)で調節する方法があります。パナソニックのカウンターアローファンが給気に対応した商品を出している。


二階の2種換気の完成画像

エアコン上の白い箱は、IKEAのキッチン吊戸棚に給気口を設置しました。。エアコンの熱交換器にダイレクトに外気を通すために設置しています。室内に給気される空気は空調済みの空気となります。

2階の2種換気、ダクト式給気ファンの設置図


換気扇と壁スイッチの結線、資格の必要な電気工事のみ工務店にお願いしました。

新築の天井に穴をあけまくるので、計画と設置はかなり慎重におこなったため、大変ストレスと時間がかかりました。

この2種換気への交換でDCファンにより換気量が安定し、換気不足からくる酸欠症状、シックハウス症状はほぼ完治しました。

現在、換気量は0.6回/1hでの運用となっています。冬になって換気量を0.4回/1hに減らしたら軽くシックハウス症状が復活しましたのですぐに0.6回/1hに戻しました。

 

注意:冬は給気ファン本体が結露します

冬は氷点下の外気がダクトを通ってきますので結露は避けられません。
結露水を排水するためのドレン管の接続が必要です。

そもそも当自宅で2種換気の給気に使用しているDCファンは、給気用のファンではないのですが、結露水の排出ができる構造となっているため採用しています。

ドレン管を接続して結露水の排水場所を確保してください。当自宅はエアコンの熱交換器に結露水が落ちるように計画しました。換気扇の説明書には”モーターが熱くなるから断熱材で囲うな”と記されているので、換気扇本体の底面のみ断熱材を張っています。

1月末までの4カ月間を2種換気にて運用しましたが、夜間に8時間程、外気温が氷点下になっていても、結露水がオーバーフローすることは6地域の当自宅ではなさそうです。またモーターは上部に接続されているので、側面は断熱材を張っても全く問題なさそうです。


なぜエアコンの真上に給気するのか?空調の効率化、主に除湿のため

 

エアコンの上に給気するのは空調の効率、特に除湿効率を高めるためです。色々とテストした結果を記事にしています。


当宅は海2キロ以内で湿度がかなり高く絶対湿度が25g/m3を超えます。除湿を効果的にしなければ、住宅内が自然にカビだらけになってしまう地域です。高湿度地域のため、建て替えは鉄骨造のハウスメーカーを選択する方が非常に多いです。

米国では給気ダクトに直接接続できる除湿機が多数あります。日本ではダイキンのデシカが除湿と換気が出来ますが、民生品はこれ一台しか市場にありません。


ダクト2種換気に変更したら、既存のパイプファンが無意味になったので動力なしの給排気口に交換したら部屋が無音になった


給気ファンの消費電力から推測すると、設置した2種換気の給気の中間ダクトファンは60Paまで一定風量にするための圧力がかけられるが、排気のパイプファンは20Paで風量ゼロとなるので全く風を送れない。

パイプファンは当然ファンの音がしてうるさい。これをネットフィルター付きの給排気口に変更した。これにより居室にパイプファンがなくなり、居室が静かに(ほぼ無音)になった。

全く吸わない換気扇パイプファンから無音の給排気口へ交換した。
居室の排気の換気量はほとんど変わっていない。

 

(前編)高気密、高断熱住宅に住んだらシックハウス症候群になった

新築の高気密、高断熱住宅(C値0.2、UA値0.21のG3住宅)に引っ越したら酸欠、シックハウス症状が出た話です。


シックハウスの原因はパイプファンによる換気不足でした。


高気密、高断熱の注文住宅を建築しました。換気を3種換気パイプファンで計画した結果、酸欠(活動すると異常に眠くなる)、シックハウスの症状(目ヤニ、鼻血、乾燥、イライラ、頭痛)がでたので、色々試した結果、ダクト式2種換気に落ち着き解決しました話です。

 


問題点:高気密住宅ではパイプファンだと力が弱すぎて、計画の通りに換気できない

洗面所給気、居室排気のパイプファンによる3種換気で計画した。



我が家は直径150mmの給気口が各階に1個のみです。そもそも給気口の面積が足りなかった。しかし新たに外壁に穴を開けるのは気密、断熱、結露リスクの観点からやめた方がいい。


たとえパイプファンでも、給気口の面積を排気口の面積の3倍、給気フィルター無し、すべてのドアを開放で、おそらく法定換気量のクリアは可能です。
しかし、それでもパイプファンの場合は、野外の風や気圧に換気量が大きく影響を受け、換気不足や過換気に簡単になります。

 


高気密住宅を3種換気のパイプファンで設計した場合に起こる不具合

  1. 換気量が足りないため酸欠、シックハウス症候群となる確率が高い。
  2. 風向きによって換気量がとても大きく変化する。
  3. 低気圧の時は換気量が減る。
  4. 冬は温度差換気によって1階の換気量が減り、2階の換気量は大幅に増えます。

 

換気量を増やすため、3種換気のセントラルダクトファンを計画、排気のパワーを増やせば解決?

既存のパイプファンの排気口を断熱材で埋め、天井懐にダクトを通して風呂、トイレの排気換気扇の穴を利用して各階のダクト排気を計画しました。

 

赤線が排気ダクト計画緑線は空調ダクト計画です。
非常に複雑ですね。。

しかし、自分で天井点検口を取り付けて、一階の天井裏を覗いたところ、天井のふところが狭すぎて100mmダクトの配管が出来なかった。ダクトを潰さないと配管出来ない。これは想定したよりも換気量が大きく減るので中止となりました。

 


セントラル排気が不可とわかり、解決方法がわからないので、国内、海外の論文を探す(そもそも工務店に換気の知識があれば問題は起こっていない)

 

自分の知識では限界が来たので、国内、海外の(換気とVOC)に関する論文を探しました。検索すると換気に関する論文の数がそもそも少ないことがわかりました。その中で2種換気とVOCに関する論文がいくつかありましたので採用することにしました。

2種換気とVOCに関する論文の要約

いくつかあった論文の内容を要約すると、

  • 新築、リフォームでシックハウス症状が出た。
  • 3種換気から2種換気にして室内を陽圧へ変更した。
  • 室内のTVOCが大幅(9割減)に減った。

という内容でした。

シックハウス症状の解決のために2種換気に決定です。

給気口にダクト式DCファンをつければ安定した給気ができ、新たに外壁に穴を開ける必要がないので完璧です。

これから新築される方は、給気と排気の風量が別々に調節できるダクト式の一種換気を選択することが、シックハウス症状を出さないための無難な選択です。

VOCの揮発をゼロにすることは現代住宅では不可能なため、VOCを吸い込む量を減らす対応が無難です。

2種換気のための給気ファン(中間ダクトファン)の選定

給気にACファンを使用する場合は機器の選定が難しいです。狭い天井懐に断熱ダクトをウネウネはわせるので圧力損失を計算することが出来ません。ゆえに、風量が大きめのファンを選定する必要がありますが、風量が大きくなれば騒音が増えます。

それを解決できるのが、風量が自動で一定になるDCモーターのファンです。このDCファンの中間ダクトファンが三菱にあり、これに決定しました。(”給気には使用できません”と書いていますので自己責任ですが、結露水排出用のドレン管接続が可能なのでこの商品に決めました。)

また、冬はダクト、換気扇本体が結露するので断熱ダクトにする必要があり、漏気は結露に直結するので施工ミスは許されません。

 

続きはこちら

 

高気密、高断熱住宅のパイプファン(3種換気)は家族の健康のためにやめとけ。

注文住宅を計画中のあなたがもっとも難しいのが換気、空調ですよね。私も一年前は全くわかりませんでした。。

 

建築時はコストを考えて3種換気のパイプファンで計画して失敗しました。

換気風量が全く想定した通りに出ないのでCO2濃度上があがり、VOC(ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物)を排出することが出来ず、子供はシックハウス症候群となり鼻血をだし、負圧が大きく、給気は少なく、酸欠状態で家族は体調不良、子供は体調不良でご飯を食べなくなりました。(現在は解決しております)

 

換気は高気密、高断熱住宅においてもっとも重要ですが、流体力学の分野となりますので大変難しいです。

 

YOUTUBEでも換気の話題はほとんどありません。あっても商品の宣伝程度で、どのように設計すればよいかは参考になる情報は皆無です。英語でYoutube検索してもほとんど情報はありません。

ビル設計に携わる空調設備の会社に依頼するコストはほとんどの施主は支払えないですし、そこまでの意識はありません。

 

高気密高断熱を歌っているにも関わらず、3種の壁付けパイプファンを提案する会社は排除してもよいですが、他に選べない場合は、天井付けの一定風量のDCモーターの換気扇で設計してください。

 

私の3種換気パイプファンの失敗談

 

給気を居室へダイレクトに行うのは夏は湿度が高く、冬は冷気が吹き込むので、エアコン上へ給気、各居室から換気扇で排気と計画しました。

 

失敗1

給気の開口面積が各階Φ150一つでは少なすぎて、パイプファンの静圧では、新鮮空気を給気口から吸い込めず酸欠状態となり、慢性的な疲労感となった。

開口面積を増やすことで解決できます。30坪総二階の場合は各階にΦ150の給気口を最低2つは必要です。

 

失敗2

野外の気圧によって、よく換気される日、あまり換気されない日、と大きく差がでました。野外の風速ではなく外気圧がパイプファンの換気量に対して大きく影響を与えます。

一定風量のDCファンを使用することで解決できます。

 

 

注文住宅の換気で3種換気を利用する場合は以下を必ず確認してください。

  1. 高気密住宅(C0.5以下)では、パイファンで計算した通りの換気は出来ない。また、日々の外気圧の変化によって換気量が大きく変わる。風が吹くと換気量はさらに大きく変化します。
  2. 一定風量のDCファンの換気扇を使用すること。これにより、外気圧の大きな変化、野外の風に対してもおおむね同じ換気風量を維持できます。
  3. 排気の開口面積の1.5~2倍の開口面積の自然給気口を設けること。そうしないと負圧が大きくなり、VOC(シックハウスの原因物質)を室内へ引き込んでしまいます。また、給気口の面積が小さいと換気扇がパワーをあげて音がうるさくなります。例えば、我が家の一階だと、Φ100の排気が三つ(開口面積約240cm2)なので給気口はΦ150を2つ(開口面積約360cm2)とする。
  4. 予算のある方はダクト式一種換気を採用するのがよい。各居室に給気口と排気口をもうければ空気の流れを計算する必要がなくなり、楽で安全。そのばあい、ダクトの施工を監視する必要あり。

 

上の3点を守れば3種換気で失敗するリスクは限りなく低くなります。

 

私の注文住宅はどのようにしてパイプファンの失敗を解決したのか?

 

まず、給気口が各階にΦ150一つのみでしたので、パイプファンが新鮮空気を吸えなくて酸欠で詰んでいたわけです。単純に給気口の面積を増やせば良いのですが、工務店には気密防水がダメになるのでやめた方が良いと言われ、それには同意しました。

 

新しく給気口面積を増やせないので既存のΦ150の給気口に三菱製Φ150の給気用のパイファンを試しにつけてみたところ、換気量がかなり増えて換気量に関しては8割は解決しました。しかし、壁付けの給気用パイプファンの音が36dbとうるさく、なんとか消音したいと思っていました。

 

消音のため中間ダクトファンを設置して2種換気に変更

そこで各階のΦ150の給気口に断熱消音ダクトと三菱の中間ダクトDCファンV-13ZMVCを設置し断熱消音ダクトからエアコン上に給気することでほぼ無音に近い換気計画となりました。エアコンの最弱風量の音よりはるかに静かになりました。

三菱の中間ダクトファンは”給気には使用しないでください”と書かれていますので自己責任でお願いします。結露水用のドレンも接続できるので結露しても大丈夫は構造にはなっています。

給気がDCファンで一定風量となりましたので、各居室の排気用パイプファンをつけても消しても換気量にほぼ差がでなくなりました。居室の排気用パイプファンは撤去し、自然排気口として給排気グリルP-13GLFを設置しました。成り行きで我が家は機械給気、自然排気の2種換気となったわけです。

日本の住宅では2種換気は全く使われないようですが、英語で書かれた論文をいくつか読んだところメリットはかなりあります。

 

2種換気はシックハウス症状、空気品質、湿度など色々メリットあり。

2種換気(陽圧換気)は手術室、衛生管理の厳格な工場、研究所のクリーンルームなどの空気の質を担保しなければならない場所で使用されます。3種換気(負圧換気)で室内にホコリを吸い込むとこれらの場所では問題がおこりますから。

 

換気とVOC、空気質についてのいくつか論文を読んだ中で、住宅に適応ができるものとして下記がありました。

  1. 2種換気(陽圧換気)にして室内を陽圧にすることで、VOCが室内に滞留する量を大きく減らせる。
  2. 窓、玄関ドア、を開けても粉塵や高湿度の空気が入って来にくい。2換気(陽圧換気)ならば窓を少し開けても小雨なら雨は入ってきません。室内から野外へ出る気流があるので雨が入りにくい、3種換気では陰圧によって雨を室内へ引き込みます。3種換気(負圧換気)の時は玄関ドアを開けると即座に野外の高湿度の空気が入ってくるのがわかりましたが、2種換気、陽圧換気にしてからは、野外の空気はあまり入ってきません。

 

など2種換気のメリットはとても大きいです。


ただし断熱ダクトの施工を丁寧に行う必要があります。ダクト接続に漏気があれば真冬は結露するので注意が必要です。これはダクト式一種換気でも同じく言えることです。

 

2種換気が住宅で利用されない一般的な理由としては、陽圧換気は”壁中に室内からの湿気が入っていくので壁内結露が起こるから”と言われていますが、低気密住宅では日常的に壁内結露は起こっているので、陽圧(正圧)だろうが陰圧(負圧)だろうが、壁内結露に関してはあまり変わらないです。

 

我が家の2種換気のデメリットは?

心配事は換気扇本体の真冬のときの結露水の量です。

ダクトは厚み25mmのグラスウール断熱ダクトなので結露はしないと思いますが、中間ダクトファン本体は断熱されていないので結露する可能性は十分あります。ドレン配管を接続し結露水をエアコン室内機の熱交換器のフィンに落とすように計画していますので少しの結露は問題ありませんが、冬の給気扇の結露水の量がまだ未体験なので、そこが心配なところです。

冷たい空気が室内に入り温められるので、飽和水蒸気量は増えるので結露はしにくいとは思いますが、まだ未体験なのでわかりません。冬を越したら再度レポートします。

エアコン室外機の位置で電気代が10%~30%も違う!それはなぜ?

一階のエアコンの方が消費電力が3割多い!一階、二階とも同型で冷房16度で風量最弱設定なのに。。


一階のエアコンだけが夕方になると1~3割程度、消費電力が大きくなるのはなぜ?

一階の方が室温が低いのに消費電力が大きい。。これはおかしい。冷媒のスローリークではないのか?と疑った。

  • 一階にエアコン一台、二階にエアコン一台で運用。
  • 2台のエアコンは6畳用の日立の同型番。

特に午後16時頃が一番差が大きく三割も違うことがたびあった。。なぜ?

日立サービスセンターに電話した。

『エアコンの消費電力と吹き出し口の温度だけでは何もわからない』

とのことで日立のサービスマン呼んでくれと返答。

まだエアコン購入後たった一カ月半なのに日立のサービスマンを呼ぶだけで4000円かかる。。

 

エアコンの消費電力は室外機の熱交換器に供給される空気の温度で消費電力が大きく変わります

試しに冷房時、室外機のフィンに水を撒いて熱交換器を冷やしてみてください。あっという間に二割、三割くらい消費電力が減ります。

しかし、水はすぐに乾いて消費電力もすぐに元に戻ります。これを試して知っていたので、室外機背面に流れる風の温度がエアコンの消費電力に大きく寄与すると予測しました。

 

北東外壁の室外機群。
右側に一階のエアコン室外機があり、二階のエアコン室外機の暖かい風を吸って運転している。さらに右側には日光で温められた玄関アプローチと道路がある環境となっている。

北東にあるエアコン室外機は南東の日陰からの風で涼しいですが、右側の一階の室外機が吸っている空気は、明らかに二階の室外機によって温められた排気を吸っています。

体感で二度くらい室外機の裏の空間の温度が違いました。これが一階のエアコンの方が消費電力が大きい一番の理由でしょう。

さらに一階エアコンの室外機の右側ゴミ箱があり、ゴミ箱の右側には玄関アプローチと道路があります。夏は午後の日差しによって玄関と道路が温められています。上記写真の右側は気温が高いのです。これも関係しそうです。

 

例えば、室外機の裏に水がためられるプールを作れば水の蒸発時の気加熱で室外機に供給される空気の温度を下げられるのではないか?

そうすればエアコンの消費電力を下げられ、節電につながりそうです。プールに直射日光が当たらない場合のみですが。

 

同型のエアコンで室外機の設置場所も方角も同じなのに、消費電力が10%~30%も違う理由がわかりました。

 

エアコンを縦に二台架台に変更すればエアコン室外機の吸う空気の温度差がなくなり、消費電力の差もほとんどなくなりそうです。

 

エアコン室外機へ供給される風の温度まで考えて、注文住宅のプラン設計を行うのはまあ素人には到底無理ですね。。

とりあえず、消費電力の違いの謎は解決しました。

 

 

 

住宅の換気、湿度とCO2濃度、シックハウス症状の関係

相対湿度とCO2濃度の関係について調べています。当方シックハウス症候群もち、子供にも遺伝してシックハウス症候群もちです。配偶者はシックハウス症候群ではありませんが、新築の家に引っ越してから顔のしわが増えたと言っています。私の体感でもCO2濃度が高いと顔をしかめて寝ているようで、起きたときにおでこにシワが刻まれています。

拙宅はシックハウス症候群の症状が出てから、換気量を大幅に増やしています。法的に必要な換気量は130㎥だが、一階は120㎥、2階145㎥の合計265㎥の換気量に増やしている。いずれも静圧10pa時の換気量です。基準の2倍の大幅な過換気にも関わらず、室内のCO2濃度が低い日や高い日が混在します。換気扇の風速が一定であることは確認していますのでそれがなぜか調べているのです。CO2濃度が高いと当然シックハウス症状や疲労感が増えます。

単純な気積や一人当たりの換気量の計算では高気密、高断熱住宅のシックハウス症候群やシックビルディング症候群を防ぐことは出来なさそうです。

そもそも住宅の気密性能の基準がないにも関わらず、換気量が法的に設定されているのはマヌケとしか言いようがありません。

住宅の気密性能と換気量には密接に関係があり、気密性が低い住宅の場合に換気の問題は表出しにくいです。住宅の隙間からどんどん外気が入ってくるためです。

 

相対湿度とCO2濃度には相関があるか?

グラフをみると相対湿度とCO2濃度にはあきらかな相関がみられる。
引用元:Determining the Ventilation Rate inside an Apartment House on the
Basis of Measured Carbon Dioxide Concentrations – Case Study 

 

就寝時の外気の絶対湿度とCO2濃度に相関はあるか?

外気の絶対湿度と室内のCO2濃度の散布図。0時から7時までの就寝時のみのデータ。

概ね絶対湿度が高いと就寝時のCO2濃度も高くなる傾向があります。換気扇の風量に関しては湿度によって変化していませんが、実際の換気は行われにくくなるようです。

給気口を囲ったプラスチック障子紙で作ったエアコン給気ボックスをみても、湿度の高い日はボックス内が負圧になってへこんでいる。かつエアコンから吹き出される新鮮空気が減っています。高湿度によって給気フィルターが詰まりやすくなるのでしょうか?

 

エアコン給気ボックスについては下記の記事をご確認ください。


さならる観察が必要です。つづく。

 

高湿度の地域の3種換気(パイプファン)でも居室の湿度を50%台にする方法

高気密、高断熱住宅の夏のエアコン運用で湿度が下がらないとお困りの方への簡単な湿度コントロール方法の記事です。

この「外気エアコン給気法」は革命的だとおもうのですが、どの工務店もやっていません。10年もすれば数社は真似するでしょう。

 

「外気エアコン給気法」を行う前提条件:

  • 給気口がエアコンの近くにあること。
  • 湿度の高い多湿な地域です。

エアコンの自動運転では湿度は下げられない

エアコンの設定を27度、風量自動で冷房すると温度は下がるが、、

  • 一階の湿度は70%超え!
  • 二階の湿度は65%超え!

「部屋は寒いが湿度は高い」という最悪な状況となってしまいます。

また、再熱除湿ができるエアコン機種(日立)ですが、我が家では再熱除湿運転では湿度は全く下がりませんでした。

 

工務店の設計士に湿度が高いという話をしましたが「まあこんなもんでしょう」みたいな返答でした。。

 

湿度70%以上では家中がそのうちカビてしまう!!

 

工務店の社員は松尾設計室の個別指導を受けたようですが、(※松尾設計室から情報は与えましたが、それを使いこなせるかどうかは個人の能力に著しく依存します)ということでしょう。

 

工務店は空調は素人なので高湿度の環境は自分で解決しよう

 

まずはフエッピーさんのブログの空調の記事を復習。

  • 湿度を下げるためには熱交換器の温度を下げて結露の量を増やす。
  • 部屋が寒くならないようにできる限り風量は抑える。

の2点が重要です。

 

作業は

  • エアコンの設定温度を16度にして熱交換器の温度を下げる。
  • 室温を下げないように風量を最弱に(フィルターの上にさらにフィルターを乗せて風量を絞る)。

の2点を行いました。

 

この運転方法で2日目から2階は湿度60%以下にすることができました。

昼は良いですが夜はどうしても寒くなります。寒いのでエアコンを送風にすると、湿度は上がってしまいます。一階は多少湿度はさがりましたが60%後半の高いままです。

 

高い湿度は野外からくる(当たり前だが、、)

我が家はパイプファンで換気設計しているので、Φ150の給気口から暖かい湿った空気が入ってきます。暖かい湿った空気を全量エアコンに通してから室内に給気すれば湿度は大きく下がるのでは?2階の湿度が50%台に下がったのは、2階の給気はエアコンの真上に設置しているからです。

 

仮説:暖かい湿った空気を全量エアコンに通して室内に給気すれば湿度は効率的に下がるのではないか?

実験装置:

一階の給気口からの新鮮空気を直接エアコンへ供給し、高湿度の空気を室内に拡散させないようにダクトを作成。段ボールダクトなので気密性は低いですが。

一階の給気(新鮮空気)をエアコンの真上にもっていき、湿度の高い空気を部屋に拡散させずに即座に除湿するための段ボールダクトを作成した。オレンジ色の四角が給気口です。

実験結果:

仮説のとおり湿度は下がり、入居以来、一度も一階の湿度は60%を切れなかったが、湿度50%台まで下げることができた。

さらに、湿度55%未満まで下げたい場合は、窓からの日射をいれて部屋を温めれば可能となりました。

 

 

二階の給気も全量エアコンに吸わせて湿度50%台前半に!

二階も同じようにΦ150の給気口からの暖かい湿った空気を、全量エアコンに吸わせるためにプラスチック障子紙養生テープで給気ボックスを作成しました。

エアコンの真上に給気口を設置してあるので囲いを作って、給気口からの暖かい湿った空気をほぼ全量エアコンに吸わせてから室内へ送りだす計画。

  • エアコンフィルターの上に風量を抑えるため、フィルターを追加している。
  • エアコンへの空気のリターンもあるのでΦ150の面積3つ程度の隙間を空けている。
  • 給気口のフタは圧力損失が発生し、パイプファンの換気効率がさがるので外した

 

この給気ボックスの効果は非常に高く湿度50%台前半に簡単に到達することができました。

日射を取り込めば湿度を40%台に下げることも可能ですが、余分に電気を消費するので止めています。全館湿度50%台で十分快適です。

 

まとめ:高気密、高断熱住宅、かつ多湿地域、かつ3種換気のパイプファンでも湿度50%台で快適に暮らす方法は、

 

給気口からの暖かい湿った新鮮空気を、全量エアコンに吸わせ、エアコンで除湿をしてから新鮮空気を室内へ入れる。

 

 

エアコンを自動運転しても湿度75%を下回らなかった一階の個室3部屋をこの「外気エアコン給気法」と命名で湿度50%台まで下げることが出来ました。

  • 高気密、高断熱住宅を建てたが、多湿地域で湿度コントロールが難しい。
  • 室内の温度は一定だが、湿度が高いままで困っている。

湿度65%以上の常態化は住宅内にカビ発生のリスクが高くなりますが、上記の方法で解決できます。

 

1か月ほど運用してデータが安定しているならば工務店に見た目を整えてもらおうと思います。

 

補足:「外気エアコン給気法」だとエアコンはサーモオフしなくなる

このエアコン外気給気法だとエアコン内の温度計へ外気の暖かい風が送り続けられるのでエアコンのサーモオフが起こりません。

エアコンのサーモオフが起こるのは「外気温 < エアコン設定温度」という条件になった時です。

 

極端な例をあげます。

  • 外気温:34度。
  • 冷房の設定温度:32度。
  • 室温:26度。

この時、エアコンはサーモオフしません。


34度の外気が直接エアコンに給気され、エアコン内の温度計は室温が34度と認識しているので、サーモオフは起こりません。エアコンの熱交換器は冷やされたままです。

外気温がエアコンの設定温度より下がれば、エアコンの温度計も「部屋冷えた」と認識してサーモオフします。

 

エアコンの設定温度の違いによる消費電力の差は微差

エアコン冷房の設定温度が16度でも27度でもワットチェッカーを見る限り消費電力はほとんど変わらないです。風量では大きく変わります。

エアコンの挙動は「設定温度とエアコン内の温度計に差があれば熱交換器を冷やし続ける」それだけのようです。エアコンの設定温度による消費電力の差よりも、エアコン風量、室外機周辺の気温、の方が消費電力にあたえる影響がはるかに大きいです。

 

 

追記:2階の給気ボックスをきれいに作成しました

 

2階の給気レジスターをプラスチック障子紙とPVCアングルで囲いました。

見た目がいまいちだったので作り直しました。

使用材料は、

あとは電動ドリルがあれば完璧です。

前回作成したものはリターン開口をあけていましたが、今回はリターン開口なしでエアコンを給気扇として使用しています。

エアコンの風量最弱+フィルター増しで、風速0.8m/sほどです。計算すると79㎥/hほど給気されていますので給気量は十分です。

 

 

エアコンから吹き出す新鮮空気。CO2濃度計で448ppmと表示されている。

エアコンから吹き出されるのは除湿された新鮮空気なので、CO2濃度を測ると外気と同程度の値を示します。


これで湿度が効率的に落とせて、パイプファンの不安定な換気能力もエアコン静圧を利用した給気で70㎥/h以上を給気できているので、3人で寝ても快適(CO2濃度が高い時でも700ppm未満)に過ごせています。

一方で一階の寝室のVOC、シックハウス症状の問題はまだ解決できていないので同じ方法で換気を考え中です。

高気密、高断熱住宅の3種換気(パイプファン)で湿度50%台前半を維持するには、上記のように給気を全量エアコンへ通し、エアコン吹出し口より室内へ新鮮空気を供給すれば低湿度運用が可能です。

 

外気エアコン給気法は一つだけデメリットがあります

給気口の直径がφ100やφ150と決まっていますので、風量を上げても、あまり風量が増えないことです。

これが問題となる条件は、急激に外気温が上がるときに快適温度にするまでに時間がかかることです。

日頃はできる限り風量を下げ、除湿量を増やすことに重点を置いていますので、素早く室温をさげることはできません。

私はSwitchbotを利用してエアコンの運用の自動化を行っていますが、外気温と絶対湿度の変動によってエアコンの設定も変えなければ快適性と節電の両立はできません。

住宅空調(3種換気)の全自動はかなりの変数(日射、気温、湿度、風、人数、風量)を考慮しなければならないので当分、人間が手動で調節したほうが快適性は維持できそうです。