松尾設計室の指導を受けた工務店で注文住宅を建てる

注文住宅で悔いを残さないための住宅建築勉強ブログ

新築住宅への2種換気導入でシックハウス症候群の完治の可能性がある、なぜ普及していないのか?

いくつかの論文から陽圧換気、2種換気によって室内へのVOCの侵入を大幅に減らせることがわかっています。しかし2種換気は全く普及していません。なぜ?

国土交通省建築士工務店、施主、シックハウス症状とVOC(揮発性有機化合物)と住宅の気密と換気に関する知識がないからか?

いや知識はあっても、彼らは間違えることを許されないかつ、全方向に忖度しなければならないので、「失敗したら方向転換します」的な思い切った手段は取れないのでしょう。

当自宅の2種換気によるシックハウス症候群の完治は、たまたま私の家族では効果があっただけ、という可能性もゼロではありません。それを踏まえて読んでください。

 

2種換気(陽圧換気)に関する誤った知識

 

「2種換気は室内が陽圧で室内の湿気を壁内へ送るため壁内結露しやすいので住宅では利用されません」等のコピペ記事が散見されます。

しかし、2種換気の陽圧換気だろうが、3種換気の負圧換気だろうが、住宅の気密性が低ければ湿気は壁内へ入って結露し、壁内のカビで30年後にはゴミ住宅と化します。

高気密住宅での2種換気の運用は全く問題ありません。おそらく低気密住宅でも問題ありません(壁内で結露します。しかし3種換気でも壁内は結露します)。壁内結露は換気種別が問題なのではなく、主に気密性(壁内の気流止め+防湿シート施工)が問題なのです。(もちろん断熱も重要)


低気密住宅の場合でも2種換気の方が室内空気環境は有利

低気密住宅では2種換気、3種換気どちらでも壁内結露します。それならば狙ったポイントに、カビほこりのない新鮮空気を供給したほうが合理的だと思います。

  • 低気密住宅での3種換気は床下や壁内からのほこりやカビを室内へ吸い上げます。
  • 低気密住宅でも2種換気であれば、少なくとも給気口に近い場所はフィルターを通した綺麗な新鮮空気を提供でき、床下や壁内からのカビ、ほこりの吸い上げは室内の陽圧によって空気を押し出すのでほとんど起こりません。
  • 低気密住宅の3種換気では室内へ供給される空気が、清潔な新鮮空気か、床下、壁内のカビとほこりを含んだ空気か、これを選ぶことはできません。

 

3種換気(パイプファン)の高気密、高断熱住宅に引越し後、子供にシックハウス症状がでた

子供にシックハウス症状がでてから100時間以上を換気に関して調べましたが、そもそも換気に関する論文が少なく、住宅換気は機能する形で法整備されていません。建築基準法シックハウス法などのザル法は一応ありますが実質機能していません。

 

シックハウス症候群の症状には下記があります。

  1. 目、鼻、喉などの粘膜に違和感。
  2. 粘膜、皮膚の乾燥感。
  3. 蕁麻疹、湿疹が出る。
  4. 疲労感、イライラ。
  5. 頭痛、病気になりやすくなる。
  6. 息がしにくい、気道がぜいぜいする。
  7. めまい、吐き気、嘔吐。

私たちのシックハウス症状は赤文字が該当しました。

シックハウス法はほぼ無意味なザル法


1970年台からシックハウス症候群が増えてから、2003年にシックハウス法(シックハウス対策に係る法令等)が施行されましたが、住宅の気密性能に応じた実行換気量が定義されていません。

建築確認申請時の机上の計算だけで良いのです。実際に換気されているかどうかは全く関係ないのです。国民の健康という観点からはザル法です。

 

またVOCに関してはホルムアルデヒドは規制されているが、アセトアルデヒドは規制されていない等、完全に建材屋への忖度をした国民の健康という観点からはザル法です。

 

住宅より厳しいビル管理法は一人30m3/1hという明確な換気量の定義がありますが、これもシックビルディングで検索すると大量に記事が出てきます。

 

製造過程を含めれば、石油由来の商品ほぼ全てVOCが含まれますので、VOCを全て規制するのは現在の社会システムでは不可能です。

シックハウス症候群を減らすには、住宅の気密性能に応じた換気量を定義し、引き渡し前に換気風量を計測、調節することを義務化すれば良いだけです。

しかし、永遠にこれは起こりそうにありませんので、シックハウス症候群になってしまった場合は自分で解決する必要があります。

 

飲食店が食中毒を起こせば業務停止のペナルティーを受けるのに、シックハウス症状を起こす建材を製造、販売しても建材屋には何のペナルティーもないという世界です。



シックハウス症候群に関する裁判所の判例は?


工務店は単にシックハウス法の規制に合格した建材を組み立てているだけなので、私は罪は少ないと思っています。

またシックハウス症状での裁判の判決も、工務店に過失はないという判決が多かったです。たとえ規制されているVOCの室内濃度が規制値を超えていても、契約書に明確な数値の記載がない限り、工務店に過失はないそうです。

シックハウス法はザル法です

 

新築住宅でシックハウス症状を起こさないように、2種換気の計画に関して、工務店側、施主側の立場で考える

 

工務店側にはデメリットあり


・そもそも換気、VOC、シックハウスに関する知識が建築業界全体にない。
・それを新しく勉強する必要がある。
・施工リスクが多少ある(ダクト式2種換気の場合に結露水の処理リスクあり)。


施主側はメリットのみ


・子供のシックハウス症状が完治しました。
・私は幼少期からの数十年のアレルギー性鼻炎が無くなりました。
・換気扇の数を6台→2台に減らせた(電気代削減効果)
・居室が静かになった(換気扇が排気口にかわったのでファンの音がなくなった)

 

シックハウス症候群になっても製造責任も、施工責任も、なんの罪にも問われないので、施主側が勉強して自分の家族を守るしかありません。

 

まとめ、新築住宅でシックハウス症候群になったら、2種換気に変更して換気量を増やせば解決します。

2種換気(陽圧換気)にすることで壁や床から室内への侵入するVOCを大幅に減らすことが出来ます。私の子供はこれによりシックハウス症状が完治しました。

シックハウス症状はハウスダストが問題とか書かれていますが全く関係ありません。その根拠に、兄弟が多いほど(つまり部屋がより汚く、埃が多いほど)アレルギー疾患が少ないという論文があります。国をあげて建材屋に忖度しているのでしょう。

私はシックハウス症候群暦40年以上ですが、人によって反応が大きく表れる化学物質が違うので規制の値の設定が難しいのでしょう。ゆえにシックハウス症候群の人すべてに効果があるのは、室内を陽圧にして換気量を増やすことです。室内が陽圧になれば壁や床からVOCを室内に吸い上げる量が大幅に減ります。

ベークアウト法(室温を上げて意図的にVOCを揮発させる)は住宅の居住者にとって現実的な対応策ではありません。ベークアウト期間はホテルなどに滞在する必要があるし、時間がたつと元にもどってしまうという指摘もあります。

また新築から40年以上の期間が過ぎた今でも、実家に帰るとシックハウス症状がでます。これは2階の床に使われている「防炎絨毯に練り込まれている何か」が私の場合は反応するようです。幼少期は頻繁に掃除して漢方薬などにも頼りましたが無意味でした。揮発してなくなるものではないからです。

アレルギーと同じく化学物質過敏症もその人固有の閾値を超えたときに発症するものだと思いますので、換気量を増やしてVOCを体内に吸い込む絶対量を減らさなければなりません。

建築業界は法が未整備の時代の金融業なみに詐欺、錯誤が多いと思う

2022年から住宅建築に関して調べはじめ、2023年に注文住宅の引き渡しを受けていますが、国を挙げての目先の利益だけを追い求めた本当に嫌な業界です。

住宅業界は高い金を支払っても、施主が理屈を勉強し、監視して注意し、是正させない限り、まともな家は立ちません。

施主が監視していても、目の前で違法建築物を建てようとします。施主の目の前でゴミを捨てていきます。信じられない業界です。

これから注文住宅を建築する方がこの記事を読むことは少ないとは思いますが、

建築請負契約は戦いです。丸投げしたら100%手抜きされます。