高気密、高断熱住宅の夏のエアコン運用で湿度が下がらないとお困りの方への簡単な湿度コントロール方法の記事です。
この「外気エアコン給気法」は革命的だとおもうのですが、どの工務店もやっていません。10年もすれば数社は真似するでしょう。
「外気エアコン給気法」を行う前提条件:
- 給気口がエアコンの近くにあること。
- 湿度の高い多湿な地域です。
エアコンの自動運転では湿度は下げられない
エアコンの設定を27度、風量自動で冷房すると温度は下がるが、、
- 一階の湿度は70%超え!
- 二階の湿度は65%超え!
と「部屋は寒いが湿度は高い」という最悪な状況となってしまいます。
また、再熱除湿ができるエアコン機種(日立)ですが、我が家では再熱除湿運転では湿度は全く下がりませんでした。
工務店の設計士に湿度が高いという話をしましたが「まあこんなもんでしょう」みたいな返答でした。。
湿度70%以上では家中がそのうちカビてしまう!!
工務店の社員は松尾設計室の個別指導を受けたようですが、(※松尾設計室から情報は与えましたが、それを使いこなせるかどうかは個人の能力に著しく依存します)ということでしょう。
工務店は空調は素人なので高湿度の環境は自分で解決しよう
まずはフエッピーさんのブログの空調の記事を復習。
- 湿度を下げるためには熱交換器の温度を下げて結露の量を増やす。
- 部屋が寒くならないようにできる限り風量は抑える。
の2点が重要です。
作業は
- エアコンの設定温度を16度にして熱交換器の温度を下げる。
- 室温を下げないように風量を最弱に(フィルターの上にさらにフィルターを乗せて風量を絞る)。
の2点を行いました。
この運転方法で2日目から2階は湿度60%以下にすることができました。
昼は良いですが夜はどうしても寒くなります。寒いのでエアコンを送風にすると、湿度は上がってしまいます。一階は多少湿度はさがりましたが60%後半の高いままです。
高い湿度は野外からくる(当たり前だが、、)
我が家はパイプファンで換気設計しているので、Φ150の給気口から暖かい湿った空気が入ってきます。暖かい湿った空気を全量エアコンに通してから室内に給気すれば湿度は大きく下がるのでは?2階の湿度が50%台に下がったのは、2階の給気はエアコンの真上に設置しているからです。
仮説:暖かい湿った空気を全量エアコンに通して室内に給気すれば湿度は効率的に下がるのではないか?
実験装置:
一階の給気口からの新鮮空気を直接エアコンへ供給し、高湿度の空気を室内に拡散させないようにダクトを作成。段ボールダクトなので気密性は低いですが。
実験結果:
仮説のとおり湿度は下がり、入居以来、一度も一階の湿度は60%を切れなかったが、湿度50%台まで下げることができた。
さらに、湿度55%未満まで下げたい場合は、窓からの日射をいれて部屋を温めれば可能となりました。
二階の給気も全量エアコンに吸わせて湿度50%台前半に!
二階も同じようにΦ150の給気口からの暖かい湿った空気を、全量エアコンに吸わせるためにプラスチック障子紙と養生テープで給気ボックスを作成しました。
この給気ボックスの効果は非常に高く湿度50%台前半に簡単に到達することができました。
日射を取り込めば湿度を40%台に下げることも可能ですが、余分に電気を消費するので止めています。全館湿度50%台で十分快適です。
まとめ:高気密、高断熱住宅、かつ多湿地域、かつ3種換気のパイプファンでも湿度50%台で快適に暮らす方法は、
給気口からの暖かい湿った新鮮空気を、全量エアコンに吸わせ、エアコンで除湿をしてから新鮮空気を室内へ入れる。
エアコンを自動運転しても湿度75%を下回らなかった一階の個室3部屋をこの「外気エアコン給気法」と命名で湿度50%台まで下げることが出来ました。
- 高気密、高断熱住宅を建てたが、多湿地域で湿度コントロールが難しい。
- 室内の温度は一定だが、湿度が高いままで困っている。
湿度65%以上の常態化は住宅内にカビ発生のリスクが高くなりますが、上記の方法で解決できます。
1か月ほど運用してデータが安定しているならば工務店に見た目を整えてもらおうと思います。
補足:「外気エアコン給気法」だとエアコンはサーモオフしなくなる
このエアコン外気給気法だとエアコン内の温度計へ外気の暖かい風が送り続けられるのでエアコンのサーモオフが起こりません。
エアコンのサーモオフが起こるのは「外気温 < エアコン設定温度」という条件になった時です。
極端な例をあげます。
- 外気温:34度。
- 冷房の設定温度:32度。
- 室温:26度。
この時、エアコンはサーモオフしません。
34度の外気が直接エアコンに給気され、エアコン内の温度計は室温が34度と認識しているので、サーモオフは起こりません。エアコンの熱交換器は冷やされたままです。
外気温がエアコンの設定温度より下がれば、エアコンの温度計も「部屋冷えた」と認識してサーモオフします。
エアコンの設定温度の違いによる消費電力の差は微差
エアコン冷房の設定温度が16度でも27度でもワットチェッカーを見る限り消費電力はほとんど変わらないです。風量では大きく変わります。
エアコンの挙動は「設定温度とエアコン内の温度計に差があれば熱交換器を冷やし続ける」それだけのようです。エアコンの設定温度による消費電力の差よりも、エアコン風量、室外機周辺の気温、の方が消費電力にあたえる影響がはるかに大きいです。
追記:2階の給気ボックスをきれいに作成しました
見た目がいまいちだったので作り直しました。
使用材料は、
あとは電動ドリルがあれば完璧です。
前回作成したものはリターン開口をあけていましたが、今回はリターン開口なしでエアコンを給気扇として使用しています。
エアコンの風量最弱+フィルター増しで、風速0.8m/sほどです。計算すると79㎥/hほど給気されていますので給気量は十分です。
エアコンから吹き出されるのは除湿された新鮮空気なので、CO2濃度を測ると外気と同程度の値を示します。
これで湿度が効率的に落とせて、パイプファンの不安定な換気能力もエアコン静圧を利用した給気で70㎥/h以上を給気できているので、3人で寝ても快適(CO2濃度が高い時でも700ppm未満)に過ごせています。
一方で一階の寝室のVOC、シックハウス症状の問題はまだ解決できていないので同じ方法で換気を考え中です。
高気密、高断熱住宅の3種換気(パイプファン)で湿度50%台前半を維持するには、上記のように給気を全量エアコンへ通し、エアコン吹出し口より室内へ新鮮空気を供給すれば低湿度運用が可能です。
外気エアコン給気法は一つだけデメリットがあります
給気口の直径がφ100やφ150と決まっていますので、風量を上げても、あまり風量が増えないことです。
これが問題となる条件は、急激に外気温が上がるときに快適温度にするまでに時間がかかることです。
日頃はできる限り風量を下げ、除湿量を増やすことに重点を置いていますので、素早く室温をさげることはできません。
私はSwitchbotを利用してエアコンの運用の自動化を行っていますが、外気温と絶対湿度の変動によってエアコンの設定も変えなければ快適性と節電の両立はできません。
住宅空調(3種換気)の全自動はかなりの変数(日射、気温、湿度、風、人数、風量)を考慮しなければならないので当分、人間が手動で調節したほうが快適性は維持できそうです。