松尾設計室の指導を受けた工務店で注文住宅を建てる

注文住宅で悔いを残さないための住宅建築勉強ブログ

高気密、高断熱住宅のパイプファン(3種換気)は家族の健康のためにやめとけ。

注文住宅を計画中のあなたがもっとも難しいのが換気、空調ですよね。私も一年前は全くわかりませんでした。。

 

建築時はコストを考えて3種換気のパイプファンで計画して失敗しました。

換気風量が全く想定した通りに出ないのでCO2濃度上があがり、VOC(ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物)を排出することが出来ず、子供はシックハウス症候群となり鼻血をだし、負圧が大きく、給気は少なく、酸欠状態で家族は体調不良、子供は体調不良でご飯を食べなくなりました。(現在は解決しております)

 

換気は高気密、高断熱住宅においてもっとも重要ですが、流体力学の分野となりますので大変難しいです。

 

YOUTUBEでも換気の話題はほとんどありません。あっても商品の宣伝程度で、どのように設計すればよいかは参考になる情報は皆無です。英語でYoutube検索してもほとんど情報はありません。

ビル設計に携わる空調設備の会社に依頼するコストはほとんどの施主は支払えないですし、そこまでの意識はありません。

 

高気密高断熱を歌っているにも関わらず、3種の壁付けパイプファンを提案する会社は排除してもよいですが、他に選べない場合は、天井付けの一定風量のDCモーターの換気扇で設計してください。

 

私の3種換気パイプファンの失敗談

 

給気を居室へダイレクトに行うのは夏は湿度が高く、冬は冷気が吹き込むので、エアコン上へ給気、各居室から換気扇で排気と計画しました。

 

失敗1

給気の開口面積が各階Φ150一つでは少なすぎて、パイプファンの静圧では、新鮮空気を給気口から吸い込めず酸欠状態となり、慢性的な疲労感となった。

開口面積を増やすことで解決できます。30坪総二階の場合は各階にΦ150の給気口を最低2つは必要です。

 

失敗2

野外の気圧によって、よく換気される日、あまり換気されない日、と大きく差がでました。野外の風速ではなく外気圧がパイプファンの換気量に対して大きく影響を与えます。

一定風量のDCファンを使用することで解決できます。

 

 

注文住宅の換気で3種換気を利用する場合は以下を必ず確認してください。

  1. 高気密住宅(C0.5以下)では、パイファンで計算した通りの換気は出来ない。また、日々の外気圧の変化によって換気量が大きく変わる。風が吹くと換気量はさらに大きく変化します。
  2. 一定風量のDCファンの換気扇を使用すること。これにより、外気圧の大きな変化、野外の風に対してもおおむね同じ換気風量を維持できます。
  3. 排気の開口面積の1.5~2倍の開口面積の自然給気口を設けること。そうしないと負圧が大きくなり、VOC(シックハウスの原因物質)を室内へ引き込んでしまいます。また、給気口の面積が小さいと換気扇がパワーをあげて音がうるさくなります。例えば、我が家の一階だと、Φ100の排気が三つ(開口面積約240cm2)なので給気口はΦ150を2つ(開口面積約360cm2)とする。
  4. 予算のある方はダクト式一種換気を採用するのがよい。各居室に給気口と排気口をもうければ空気の流れを計算する必要がなくなり、楽で安全。そのばあい、ダクトの施工を監視する必要あり。

 

上の3点を守れば3種換気で失敗するリスクは限りなく低くなります。

 

私の注文住宅はどのようにしてパイプファンの失敗を解決したのか?

 

まず、給気口が各階にΦ150一つのみでしたので、パイプファンが新鮮空気を吸えなくて酸欠で詰んでいたわけです。単純に給気口の面積を増やせば良いのですが、工務店には気密防水がダメになるのでやめた方が良いと言われ、それには同意しました。

 

新しく給気口面積を増やせないので既存のΦ150の給気口に三菱製Φ150の給気用のパイファンを試しにつけてみたところ、換気量がかなり増えて換気量に関しては8割は解決しました。しかし、壁付けの給気用パイプファンの音が36dbとうるさく、なんとか消音したいと思っていました。

 

消音のため中間ダクトファンを設置して2種換気に変更

そこで各階のΦ150の給気口に断熱消音ダクトと三菱の中間ダクトDCファンV-13ZMVCを設置し断熱消音ダクトからエアコン上に給気することでほぼ無音に近い換気計画となりました。エアコンの最弱風量の音よりはるかに静かになりました。

三菱の中間ダクトファンは”給気には使用しないでください”と書かれていますので自己責任でお願いします。結露水用のドレンも接続できるので結露しても大丈夫は構造にはなっています。

給気がDCファンで一定風量となりましたので、各居室の排気用パイプファンをつけても消しても換気量にほぼ差がでなくなりました。居室の排気用パイプファンは撤去し、自然排気口として給排気グリルP-13GLFを設置しました。成り行きで我が家は機械給気、自然排気の2種換気となったわけです。

日本の住宅では2種換気は全く使われないようですが、英語で書かれた論文をいくつか読んだところメリットはかなりあります。

 

2種換気はシックハウス症状、空気品質、湿度など色々メリットあり。

2種換気(陽圧換気)は手術室、衛生管理の厳格な工場、研究所のクリーンルームなどの空気の質を担保しなければならない場所で使用されます。3種換気(負圧換気)で室内にホコリを吸い込むとこれらの場所では問題がおこりますから。

 

換気とVOC、空気質についてのいくつか論文を読んだ中で、住宅に適応ができるものとして下記がありました。

  1. 2種換気(陽圧換気)にして室内を陽圧にすることで、VOCが室内に滞留する量を大きく減らせる。
  2. 窓、玄関ドア、を開けても粉塵や高湿度の空気が入って来にくい。2換気(陽圧換気)ならば窓を少し開けても小雨なら雨は入ってきません。室内から野外へ出る気流があるので雨が入りにくい、3種換気では陰圧によって雨を室内へ引き込みます。3種換気(負圧換気)の時は玄関ドアを開けると即座に野外の高湿度の空気が入ってくるのがわかりましたが、2種換気、陽圧換気にしてからは、野外の空気はあまり入ってきません。

 

など2種換気のメリットはとても大きいです。


ただし断熱ダクトの施工を丁寧に行う必要があります。ダクト接続に漏気があれば真冬は結露するので注意が必要です。これはダクト式一種換気でも同じく言えることです。

 

2種換気が住宅で利用されない一般的な理由としては、陽圧換気は”壁中に室内からの湿気が入っていくので壁内結露が起こるから”と言われていますが、低気密住宅では日常的に壁内結露は起こっているので、陽圧(正圧)だろうが陰圧(負圧)だろうが、壁内結露に関してはあまり変わらないです。

 

我が家の2種換気のデメリットは?

心配事は換気扇本体の真冬のときの結露水の量です。

ダクトは厚み25mmのグラスウール断熱ダクトなので結露はしないと思いますが、中間ダクトファン本体は断熱されていないので結露する可能性は十分あります。ドレン配管を接続し結露水をエアコン室内機の熱交換器のフィンに落とすように計画していますので少しの結露は問題ありませんが、冬の給気扇の結露水の量がまだ未体験なので、そこが心配なところです。

冷たい空気が室内に入り温められるので、飽和水蒸気量は増えるので結露はしにくいとは思いますが、まだ未体験なのでわかりません。冬を越したら再度レポートします。