松尾設計室の指導を受けた工務店で注文住宅を建てる

注文住宅で悔いを残さないための住宅建築勉強ブログ

高気密、高断熱住宅でパイプファン換気は難しい。実体験での失敗。

我が家は有効換気量42立米のシャッター付きパイプファンを5個設置しています。数字上の換気量は210㎥(0.5回/時の必要換気量125㎥)です。

建築基準法の必要換気量より約1.7倍の十分な換気量ですが、CO2濃度の実測値を見ると、パイプファンでは机上の計算程は換気できていないのが実態です。 現実の物理世界では、

  1. 排気フードの圧損 8pa
  2. 各個室の扉の圧損 ?pa
  3. 給気レジスターの圧損 5pa
  4. 給気口の野外フードの圧損 1pa

と様々な変数を考慮する必要があり、実際のパイプファンの換気量はかなり少なくなります。 メーカー発表の圧力損失特性(PQ曲線)も外が無風の状態でのグラフですから、野外に風が吹いている世界での第3種換気パイプファンの換気量のバラつきはかなり大きいです。 下記の約一年前に書いた記事で3種換気パイプファンの心配事をかいているのですが、その心配が的中しています。。

 

 

圧力損失を考慮して実際の換気量を計算する

  1. 排気フードの圧力損失は約8paを計算に入れると、パイプファンの有効換気量は33立米まで下がります。
  2. 各個室の扉の圧力損失は計算できないので無視。ドアを閉めたときのアンダーカットの開口面積はΦ100の面積より大きいですが、CO2濃度を見る限り圧力損失はあります。
  3. 給気レジスターの圧損は換気量33㎥の時に約5paですので、パイプファンの有効換気量は26立米まで下がります。
  4. 給気口の野外フードの圧損は、風量26㎥の時約1pa。

メーカー発表のデータで見る限り、パイプファンには(野外が無風の時に)合計で14paもの圧力損失が発生していました。

これをパイプファンのPQ曲線にあててみると換気量は約25㎥となります。25㎥の換気扇が5個で、運よく建築基準法の必要換気量の125㎥と同じになりました。

しかし、この計算の値は人が同じ空間にいるときの換気にかんしては考慮されていません。住宅の気密が高いがゆえに、CO2濃度でみた場合の適切な換気設計が難しくなっているのです。

もし、次に注文住宅を考える機会があれば、流体力学のCFDシミュレーションを行い空調&換気に万全を期したいと思います。

 

シックハウス症候群の症状が私と子供に出てしまった。

我が家の第三種パイプファンの換気計画は、圧力損失を考慮してもギリギリ必要換気量量を満たしていました。

しかし、まずは私が引っ越し後にすぐに目が痒くなり、喉がすこしイガイガしました。私はシックハウス症候群の持病があります。

3歳の時にホルムアルデヒドが充満した新築住宅に引っ越してアレルギー体質となりました。40年以上たって古家となった現在でも、私が育った部屋に入るとアレルギー症状が出ます。

おそらくポリエステルの不燃絨毯に練り込まれた「何か」がアレルギー症状を発生させるようです。3年前に購入したニトリの不燃カーテンでも同じ症状がでたので「不燃のために練り込まれた何か」がアレルギー症状を発生させるようです。

残念なことに、シックハウス症状は息子にも遺伝していて、体調が悪くなると朝に目が開かないくらいの目ヤニが出ます。夜中に目や鼻がかゆいのか盛んにかいています。。もちろん私にも同じ症状がありますが、子供の方が毒に対して敏感です。。

シックハウスの症状は経験上、室内の換気量を増やせば軽くなります。

ホルムアルデヒドの計測器をもっていないので、CO2濃度計で代用しています。ホルムアルデヒド有機化化合物は高温多湿になると盛んに揮発するようです。ゆえに夏に症状がでることが多いです。

ホルムアルデヒド有機化合物は前回住んでいた築20年の戸建てからも揮発されていました。目がかゆい、鼻がムズムズするなどの症状です。

建材の人体に与える闇は本当に深ーーーいです。ちなみにRCの集合住宅に住んでいた時や、土壁の古い賃貸物件の時はシックハウス症状は出ませんでした。

 

無垢材でない限り接着剤は必ず使用されていますので、有機化合物はどこからでも襲ってくるのです。結局42立米(圧力損失を考慮すると実質23㎥)のパイプファンで6畳間に3人就寝の条件では、CO2濃度を低く保つのは無理でした。個室では一人当たり250ppm前後、CO2濃度を上昇させてしまいます。

寝室CO2濃度を約700ppmに抑えるには、先ほど計算した圧力損失を考慮するとパイプファンの数字上の必要換気量は約130㎥くらいとなります。。

圧力損失分を考慮すると、130㎥の換気量が現実に換気できる量は60㎥くらいとなる。(就寝時一人当たり20㎥と仮定)

 

寝室のCO2濃度が1000ppmを超え、子供の目ヤニ、鼻水、がすごい出る

下記CO2濃度グラフは寝室のアウトセット引き戸を閉めて3人就寝、パイプファン42㎥(実質23㎥)のみの換気です。

朝5時ごろにCO2濃度は1500ppm近くまで上昇しています。このデータは一時間の平均のようなので最大値はもっと高いはず。子供の目ヤニは朝起きたときに目が開かないくらい出ています。

寝室で3人就寝、43㎥(実質23㎥)の換気扇のみ、扉は閉めた場合のCO2濃度

 

換気扇を大きな風量のものに交換してみた

ビル管理法では一人当たり30立米の換気量の計算ですので、換気扇をより大きな風量のものに変えればよいだろうと、換気量80立米のものに変更しました。(実質の換気量は43㎥程度)しかし、アウトセット引き戸を閉めて寝ると1100ppmまで上昇します。もう一声。。

 

換気扇を43㎥→80㎥へ変更したがやはり1000ppmを超えて、子供のシックハウス症状が爆発した。

アウトセット引き戸はそもそも気密性がスカスカの扉にもかかわらずCO2濃度は無残にも1,000ppm超えです。扉を開けて寝ればすぐに600ppmまでCO2濃度は下がります。

もっとも簡単な寝室のCO2濃度を上昇させない方法は「扉を開けて寝る」です。

しかし廊下の照明がまぶしいなどの生活上の不便もあるため、できれば扉を閉めて寝たい。

 

ここでダクト3種の換気扇であれば、寝室の風量を単純に増やせばよいので簡単です。パイプファンでの換気設計では個別に判断する必要がありますので難しい。という話でした。

 

さらに北側の洗面室を空調室としているのでややこしい

1階の3部屋の個室には洗面室(空調室)から排気換気扇で各個室に冷気、暖気を分配しています。下記記事に図面があります。 上記リンク先の空調用の換気扇の位置も設計上あまりよろしくなくて、リターンからの温かい空気を空調用の換気扇が吸って寝室に再び戻るような形となっていてる。要は供給されるエアの温度に0.5度~1度のバラつきがある。

  • 主寝室への空調温度、22.0度
  • 個室1への空調温度、21.5度
  • 個室2への空調温度、21.0度

 

と多少の非効率な空調設計となっています。私も、工務店もダクト空調は初めてなので文句を言うつもりはありませんが。

 

部屋の湿度が70%超える問題は解決は出来ました。下記の記事をご覧ください。