松尾設計室の指導を受けた工務店で注文住宅を建てる

注文住宅で悔いを残さないための住宅建築勉強ブログ

冬に日当たりが悪い土地で日射取得ガラスか日射遮蔽(遮熱)ガラスのどっちが電気代が得か?

自力で計算するためのスプレッドシートを下に公開しています。


ブログ、Youtube等では建物の南面は日射取得を最大化するために大きな窓をつけて窓ガラスを日射取得型ガラスに、それ以外は日射遮蔽型ガラスにしましょうと述べている方が多いです。
しかし、真南に向いた立地で、かつ冬期に十分な日射が見込める条件の良い土地に住める方は多くはないと思います。

「日射取得ニュートラルガラスか、日射遮蔽(遮熱)ニュートラルガラスのどちらが電気代が得か?」
を計算式を公開している工務店や施主は私の検索では見つけることはできませんでした。
QPEX(新住協)や建物燃費ナビ(パッシブハウス・ジャパン)だと自動で計算してくれるのでしょうが、使用したことがありませんので自分で計算しました。

この記事では我が家で採用しているYKKのAPW430の性能比較となります。

前提条件
  • 我が家は神奈川県6地域の温暖地です。
  • 建物の日射取得面は南西に45度触れています。
  • アウターシェードなどで夏の日射遮蔽が出来ている。
  • 南側に山があるので冬至の日射が11時~13時の3時間程の日射
  • 窓はYKKのAPW430の片側FIXのツーアクション窓が6枚。
先に結論

日射取得ガラス、日射遮蔽(遮熱)ニュートラルガラスのどちらを選択しても電気代は年間1000円~2000円程度の差でしかありません。

計算が面倒ならば日射遮蔽(遮熱)ニュートラルが無難です。

ガラスの選択よりも太陽光発電をのせる判断に時間を使ったほうが1年間で数万円の差がつくので、金額は遥かに大きいです。

 

我が家は日当たりがあまり良くないので太陽光発電は乗せてません。自分で計算したシミュレーションでは損益分岐点が16年程度(パネルの不具合が起こらなければ)でしたので太陽光発電はやめました。  

 

簡便な判断法は、
  • 冬至時に日当たり良いなら日射取得ガラス
  • 冬至時に日当たり悪いなら日射遮蔽(遮熱)ニュートラルガラス

と判断してください。

APW430ガラス種類別スペック
日射取得ニュートラル 熱貫流率1.16 日射取得率0.41 シングルLOW−E
日射遮蔽ニュートラル 熱貫流率0.9 日射取得率0.34 ダブルLOW−E
出典YKKAP

住宅密集地の冬至時にあまり日当たりが良くない土地は、日射取得ができる方角のガラスは日射遮蔽(遮熱)ニュートラルガラスを選択すれば良いです。
また、日当たりが良すぎると冬でもオーバーヒートの問題が出てきますが当記事では考慮しません。


自分で計算して確かめたい方は下記のスプレッドシートをご利用ください。

日射遮蔽(遮熱)ガラスか日射取得ガラスのどちらが熱収支で優れているのかの計算方法を公開します。ご自身で計算する場合にお役立てください。
計算の正確性について保証しませんので、ご自身ですべてのリスクを負ってください。

計算方法は

  1. 下記リンクよりGoogleスプレッドシート開いて、
  2. ファイル>コピーを保存 を選択。これをしないと値を編集できません。
  3. シートを編集できるようになります。

docs.google.com

計算のために考慮した変数

  • 斜面日射量(NEDO日射量データベース)
  • 斜面日射量と住宅への物理的な日当たり時間(斜面日射量 * N)をSunSeekerやホームズ君で確認
  • 斜面日射量から冬季5カ月、夏季4カ月の平均日射量/1日を計算
  • 窓ガラスの面積(ガラス面しか日射取得できない)
  • 開口部面積(樹脂枠を含む、ツーアクション窓は樹脂枠が太い)
  • 樹脂枠率(ガラス面積/窓面積、カタログ写真から画像ソフトで計算)
  • 網戸面積(網戸があると日射透過が65%程度に減る)
  • アウターシェードでの日射遮蔽率
  • 窓の熱貫流
  • 夏季、冬季の室内との平均温度差
  • 1kwh電気料金
  • エアコンのヒートポンプCOP

 

エクセルを十分に使える方であれば、複雑な計算はないので、見ればわかると思います。