高気密高断熱住宅(UA値0.22,C値未定)を注文住宅で建築予定。
住宅設計では換気、空調が一番複雑です。
6地域では金額を無視するならば、ダクト一種が一番快適なはずです。
問題は工務店のダクト設計施工能力、工賃、機器の金額となります。
ゆえに我が家は単純な3種パイプファンとなりました。
最初にまとめを書きます
- 3種換気で一番圧力損失が大きいのは排気フードである。
- 風がそこそこある日の3種換気は過換気か換気不足になりやすい。
- 空調ダクト施工をやったことない工務店にはダクト一種換気は頼めない。
- トイレ、風呂が局所換気(24時間換気の計算外)であれば高気密シャッターが必要。トイレの空気が居室へ逆流してくる。
工務店の提案であるダクトレス一種換気の不採用の理由
工務店の提案はダクトレス一種換気(ヴェントサン、エアウェーブ)でしたが、
- 掃除が面倒、3ヶ月枚に8枚のフィルタ掃除、
- 1年ごとに蓄熱エレメント4個を掃除、
- 10年ごとに蓄熱エレメント交換
- 給気、排気の切り替え音カチカチが気になる(私は音に敏感なので)
- 「これショートサーキットするやろ」としか思えない換気メーカーからの換気計画の図面。。6台使えばバランス取れそうですが、かなりのコスト高。
以上の理由から3種換気を選択しました。
3種換気でも居室から排気、エアコンそばに自然給気口の寒くならない工夫をした換気を施主が計画しました。エスネルデザインのブログなどを参考にしました。
3種換気といえばパイプファン
パイプファンで検討していたのですが、調べるうちに下記が心配になってきました。
パイプファンの心配な点
- 風圧シャッターがないので、風が強い台風の日等に空気が逆流する。
- パイプファンは静圧が低く、自然給気口からの空気がドア二枚のアンダーカットをくぐることで圧力損失により、換気がほとんど機能しないのでは?
パイプファンの心配な点の解決策
- 空気の逆流は、排気フードの上部が空いている逆風対応タイプに変える。
- 高気密シャッターの付属したパイプファンに変更する。
- 圧力損失を計算して、パイプファンで換気量を確保できると判断した。
圧力損失を考慮して換気量を計算する。
- 我が家の必要換気量は133㎥/hです。
- ビル管理法では一人当たり30立米/時、3人家族なので90立米/時。
- Φ150の自然給気口2つ
- 3部屋ある各居室に43㎥のパイプファンを設置。129㎥/h
- LDKには43㎥のパイプファンを設置を2機、一つは予備として設置。43㎥/h
- 1時間の換気量 129+43=172㎥/h 129%の換気しすぎ。。
これらは数字の通りに換気されるのか?
気密性の高い住宅のため、換気が不十分だと二酸化炭素の濃度が上がって健康上のリスクや作業効率の低下を招きます。
まずはデータを集める。必要なデータはPQ曲線グラフです。
PQ曲線(風量特性曲線)グラフにパイプ抵抗曲線、10m、20mが表記されている。
給気口からドア二枚のアンダーカット(高さ1.5センチ幅68センチ)を通って排気の圧力損失は問題なさそうです。
- アンダーカットの開口面積102㎠
- 直径100mmパイプの開口面積78㎠
十分に隙間はあり、圧力損失は少なそうです。
大きな圧力損失は防音仕様の排気フードにありました
防音タイプの排気フードの開口面積が17.9㎠しかありません。
Φ100ダクトの面積は78㎠。
約1/4の面積に空気を押し込む必要があります。
防音排気フードの圧力損失をかんがみた換気量は、
- 風量43㎥時、圧力差24Pa(防音排気フードの圧力損失曲線より)
- 換気量は13㎥/hまで減る。圧力損失70%(パイプファンの風量特性曲線より)
開口面積の狭い防音排気フードの圧力損失を考慮すると、
換気量はカタログ値の風量の30%(43㎥/h→13㎥/h)となりました。
再考したほうが良さそうです。
自然給気口の給気レジスターと給気用野外フードの圧力損失曲線も確認する
自然給気口の圧力損失は無視して良いレベルです。
ただし、パネル全開状態ですので半開にした場合の静圧は2倍程度となりそうです。
追記:2023/09/04
給気レジスターは風量90㎥/hの時に25Paもの静圧がかかっているのでパイプファンでは全く吸えないのではないか?換気扇のPQ曲線をみると25Paの時は43㎥/h→13㎥/hへ減少となっている。体感的に個室の換気量は13㎥/h前後な気がする。フィルターとフタが大きな圧損となっている。
給気用の野外フードの圧力損失特性グラフはどうか?
通気量60㎥の時に圧力差2Pa程度と圧力損失は低いので特に気にしなくても大丈夫なようだ。
防音タイプでない排気フードだとどうなるか?
開口面積は32cm2で防音タイプ18cm2の面積の2倍近くあります。
開口面積が大きいため、圧力損失による風量低下は20%程度(約33㎥/h)です。
排気フード上部がふさがっているので台風時など風雨の逆流は多少あると思います。
逆風防止に効果のある上に風の抜ける上部開口タイプの排気フードではどうか?
上部が空いているタイプの排気フードですので、強風でも風が上に抜ける。
換気量43㎥/hの排気フードによる圧力差は6Pa程度。
圧力損失によって風量は35㎥/h程度となり、
圧力損失による風量低下は19%程度。
まあなんとかなるか程度です。
過換気もできるように2階リビングにはパイプファンを2機設置します。
各部屋の換気量を計算すると問題点も見えてきました。
- 活動時は一人当たり30㎥/h(リビング換気量、最大70㎥/h。集まって活動するならば必要換気量90㎥/hなので換気不足)
- 就寝時は一人当たり20㎥/h(寝室換気量、35㎥/h。寝室3人で就寝なので必要換気量60㎥/hなので換気不足)
あーなんて難しいのだ。
そしてなんでこんなことを施主がやっているのか。。
結局、風量調節できるダクト式の換気が一番換気の計画がしやすいです。
これから換気計画をおこなう施主の皆様は、
ダクト一種かダクト3種を施工できる工務店、設計者を探してください。
しかし、構造計算、空調設計までできる設計士、工務店、かつ手の届く価格は、おそらく注文住宅マーケット参加者の1%程度でしょう。
私はかなりの時間を用いて検索したが、適正と思える価格では探せなかった。
空調設計するには、ダクト施工のための梁の高さがわからなければならない。
ゆえに構造計算もできなければ空調計画はできない。